原薬・医薬品包装・医薬品添加物の登記制度(中国DMF)について

医薬品関連のCFDA申請の中で、医薬品の承認審査の簡素化し、医薬品再登録制度を整備することを目的とした2017年の法改正(2017/42号)に伴い、以下のような運用が行われています。
- 原薬・医薬品包装・医薬品添加物の概念を明確化し、既存の医薬品製剤や医療器から切り離し、単独の登記制度にて運用する。
- 医薬品と原薬、医薬品包装、医薬品添加物との関連審査を行い、医薬品包装と医薬品添加物に対する独自的な承認審査を医薬品登録申請の時に一緒に承認審査を行うことになる。
- FDAのDMFs(Drug Master Files)の参考を元に2015年に作られた 新規定であり、中国の原薬・医薬品包装・医薬品添加物登録原簿である。
- 日本のMF(原薬等登録原簿) と同じ参照元ですが、該当規定は直近の FDA”DMFs”を参照しており、日本は2005年から早い段階で運用を開始したため、日本の原薬登記と異なる点が多いのが注意点である。
各下位規定例(具体的な製品の個別の規定)
YBB00152002:医薬品包装用アルミニウム
YBX2000:ゼラチン空カプセル
YBB00072002:ポリプロピレン製点眼剤容器
YB/T4239:窒化ケイ鉄
YBB00032005:ソーダ石灰ガラス製輸液ボトル
YB/T5324:フェロシアン化ナトリウム
YBB00112004:プレフィルド注射器セット
Y20190009214:ダウノルビシン塩酸塩
制度対象の製品
薬包材
(医薬品包装材料)

- 中国語:薬包材
- 日本語:医薬品包装材料
医薬品を入れるためのもので、医薬品と直接接触するもの。例えば錠剤や注射剤などの容器・栓・蓋、乾燥剤などが該当する。
薬用補料
(医薬品添加物)

- 中国語:薬用補料
- 日本語:医薬品添加物
製剤に含まれる有効成分以外の物質、賦形剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、着色剤など。
原料薬(原薬)

- 中国語:原料薬
- 日本語:原薬
医薬品の有効成分に該当する低分子化合物など。例えば抗生剤の中には、細菌を殺傷・増殖阻害するための有効成分が入っています。
中国DMF制度に関する考察
弊社は、本年7月16日に中国薬品監督管理部門より公布された中国における原薬・医薬品添加物・医薬品包装のNMPA備案登記に関する現状と考察を10月1日に発表しました。
多くの日本の製薬関連企業が、対応を悩んでいる当該備案登記について、特に製薬企業と原薬・医薬品添加物・医薬品包装の製販企業の関係について整理、報告しています。 同時にWWIPは、10月1日より、NMPAの医薬関連備案登記申請の代行業務を拡充するため、北京の体制を強化、多くの製薬関連企業へのコンサルティング並びに申請代行業務を提供して参ります。
中国当局は同備案登記制度を強く推進しようとしており、今後法的に義務化される可能性があります。
当局は備案登記制度を推進することで、製薬の薬事申請における審査の省力化と迅速化を狙っているものと思われます。
今後も注視していく必要があります。
当文書は、以下の資料請求ページより無料でダウンロードできます。
また、当文書に記載の2019年第56号公告の日本語訳もダウンロードできます。
中国DMFに関するQ&A
- 2019年56号公告「国家医薬品管理局によるさらなる医薬品関連事項改善のための審査承認およびその管理作業に関する事項の報告書」によ備案登録は必須なのか?
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56号公告において、薬包材、薬用補料、原薬については、備案登録が必須であると明文化されております。
※ 56号公告 一、全体要求(一)、(三)
但し、(一)の後段では、「特別な事情により、原薬、補料、包材が、登録できない場合は製薬メーカーの薬事申請時において資料提出をすることができる」 と記載されております。
現在の実申請の場においては、上記文脈の中で、実際に備案登録がなされていなくとも、薬事申請時に資料提出することで申請は受理されており、「特別な事情」についても、明確に問われることはないと聞いています。
しかし、このような対応は、昨年8月施行からまだ一年経たない間の救済措置であり、今後どこかのタイミングで、制度の厳格運用が始まる可能性があると考えられます。 - 56号薬包材備案登記で登録された内容について実際に使用する場合の差異はどこまで認められるか?
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登録された構成で使用する必要があります。
A+B+C+Dという構成要素 で登録されたものを A+B+D で使用することもできません。
除外される構成要素も、この薬包材の構成要素としてセットで登録されたものであり、登録された構成に対しては、追加も削除もできないというのが原則です。 - 56号薬包材備案登記では構成要素のバリエーションがどこまで認められるか?
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構成要素中でバリエーションを持たせて申請できるのは、薬剤に直接触れない構成要素に限ります。
また、そのバリエーションも、例えば色素の添加剤など、軽微な違いに限ります。