【中国化粧品】北京市化粧品審査評価検査センターが「普通化粧品の登記Q&A<安全評価特集>」(第38期)を発表
2024年10月30日、北京市化粧品審査評価検査センターが「普通化粧品の登記Q&A」(第38期)として、よくある5つの質問に関して発表しました。
※下記の内容には、皆さんが少しでもお読みになりやすいように、一部、言葉を補った意訳も含んでおります。ご了承ください。
1)「化粧品原料データ使用ガイド《化妆品原料数据使用指南》」には7種類の主要な原料データタイプが含まれていますが、各エビデンスのタイプ間には優先順位はありますか?
対象原料(成分)が「化粧品安全技術規範《化妆品安全技术规范》」における制限成分《限用组分》、準用防腐剤《准用防腐剂》、準用日焼け止め《准用防晒剂》、準用着色剤《准用着色剂》、準用染毛剤《准用染发剂》に該当している場合は、「化粧品安全技術規範《化妆品安全技术规范》」の関連要求を満たす必要があります。
つまり、7種類のエビデンスタイプのうち、エビデンスタイプ(一)(WWIP注:「化粧品安全技術規範」のことです)を満たす必要があります。他の原料(成分)については、原料の特徴や実際の状況に応じて、残りの6種類のエビデンスタイプのうちのいずれかを採用することができますが、上記の6種類のエビデンスタイプ間には優先順位の関係はありません。
2)某製品の処方に某植物抽出物が含まれており、その該当植物が「中国食物成分表」に収載されている場合、その植物抽出物の系統(システム)毒性を免除するためには、その植物が「中国食物成分表」に収載されているというエビデンスを提出するだけで十分ですか?
その植物が「中国食物成分表」に収載されているというエビデンスだけでは、その植物抽出物の生産工程において他のリスク物質(例:リスクのある抽出溶剤)が混入していないかを証明することはできません。そのため、その植物抽出物の系統(システム)毒性を免除することはできません。「化粧品原料データ使用ガイドライン《化妆品原料数据使用指南》」の関連要求に従い、安全な食用履歴を持つ原料については、その食用履歴や生産工程についても全面に十分な研究(調査)を行い、原料或いはその該当原料を生産する為に使用する原材料(植物素材・抽出溶剤・生産助剤等の基礎原料)が安全な食用可能である特性を持っていることを確認する必要があります。
3)完整版(完全版)安全評価で原料の3年使用歴をエビデンスタイプとして採用する場合と、簡易版安全評価でのエビデンスタイプ3との違いは何ですか?
二者の最大の違いは、完整版(完全版)の原料の3年使用歴では、非自社(他社)の3年以上の使用歴がある原料を評価の根拠として使用できる点です。ただし、原料の生産企業或いは同一原料を使用している化粧品生産企業からの授権書も提供する必要があります。
次に、完整版(完全版)の原料3年使用歴は、同一原料の判定基準をさらに明確にしており、「己使用化粧品原料目録(2021年版)《已使用化妆品原料目录(2021年版)》」において番号が同じである必要があり、かつ、同一原料であることを証明する資料を提出することが求められます。さらに、市場での販売データの証拠の提供も明確に求められ、化粧品登記者は販売状況の分析を行い、その結果が使用者グループの原料の使用安全性を反映している必要があります。
4)化粧品登記者が化粧品と包材の相互適合性評価を行う際、「化粧品と包材の相互適合性試験評価技術ガイドライン《化妆品与包材相容性测试评估技术指南》」に従って研究を行う必要がありますか?
化粧品登記者による化粧品と包材の相互適合性評価方法は、適切な模擬液を用いた包材の浸出物研究報告、化粧品の歴史的な安全性データや報告、食品・医薬品または独自の方法に基づいた包材との相互適合性研究報告、供給者提供のデータ或いは声明、品質管理報告、さらに化粧品の安定性実験結果を総合的に評価した化粧品安全性報告等が含まれます。化粧品登記者は、その中の1つの方法或いは複数の方法を用いて化粧品と包材の相互適合性を評価できます。ただし、化粧品登記者が上記の安全性評価資料を提供できない場合や、化粧品と包材の相互作用があり、化粧品の品質や安全性に影響を及ぼす場合は、「化粧品と包材の相互適合性試験評価技術ガイドライン《化妆品与包材相容性测试评估技术指南》」を参考にして関連研究を行う必要があります。
5)化粧品登記者が化粧品と包装材の相互適合性評価を行う際に参考にできる医薬品や食品に関連する基準は何ですか?
▶医薬品関連の基準としては、以下のものがあります:
①《药品包装材料与药物相容性试验指导原则》YBB00142002-2015
和訳:医薬品包装材料と医薬品の相互適合性試験ガイドライン」
②《化学药品注射剂与塑料包装材料相容性研究技术指导原则(试行)》
和訳:化学薬品注射剤とプラスチック包装材料の相互適合性研究技術ガイドライン(試行)
③《化学药品与弹性体密封件相容性研究技术指导原则(试行)》
和訳:化学薬品と弾性体(エラストマー)シールの相互適合性研究技術ガイドライン(試行)」
④《化学药品注射剂与药用玻璃包装容器相容性研究技术指导原则(试行)
和訳:化学薬品注射剤と医薬用ガラス包装容器の相互適合性研究技術ガイドライン(試行)
等
▶食品関連の基準としては、以下のものがあります:
①《食品安全国家标准 食品接触材料及制品迁移试验通则》GB31604.1-2023
和訳:食品安全国家標準 食品接触材料及び製品の移行試験の一般規則
②《食品安全国家标准 食品接触材料及制品通用安全要求》GB4806.1-2016
和訳:食品安全国家標準 食品接触材料及び製品の一般安全要求
③《食品安全国家标准 食品接触材料及制品迁移试验预处理方法通则》GB5009.156-2016
和訳:食品安全国家標準 食品接触材料及び製品の移行試験前処理方法の一般規則」
等
その他、GB31604シリーズの標準には、重金属やフタル酸エステル等の有害物質測定も含まれており、参考にすることができます。
WWIPより
上記1)は中国化粧品安全技術規範の要求を満たす必要がある原料(成分)はエビデンスタイプ(一)の使用が必須です。しかし、それ以外の原料(成分)では、エビデンスタイプ(二)~(七)に使用の優先順位はないことから、各社様の現状に応じたエビデンスタイプを選択して頂き、安全性評価を実施することが可能です。
上記2)は、植物抽出液を配合する場合、「エビデンスタイプ(六):安全な食用歴」を使用することもあるかと思います。その際、原料会社様からの情報提供(国内外の監督管理部門や技術機構が公表した、安全に食用できる原料である証拠等)が必要になりますので、事前に原料会社様へ情報のご提供が可能であるかをご確認ください。
上記3)は、既にご存じの内容かとは思いますが、完整版(完全版)では他社の国内外の使用実績がNMPAの要求事項に適合すればエビデンスとして使用可能となることから、参考に出来る範囲が広がりました。
上記4)は、化粧品と包材の相互適合性評価を行う際、「化粧品と包材の相互適合性試験評価技術ガイドライン」に記載の項目を全て検証する必要はなく、処方内容や包材の材質にもよりますが、1つの包材適合試験でも可能とのことです。各社で選定された試験項目で登記準備を進めて頂ければと思います。
※あくまでガイドラインですので、全てに従う必要はなく、参考との位置付けであるとの認識です。
上記5)は、化粧品と包材の相互適合性評価の考え方が、中国内での医薬品・食品のルールを参考にされていることもあり、中国国内で保有されている医薬品・食品の内容が掲載されています。医薬品関連ではガイドラインや試行分が、食品関連では国家強制標準(GB)分が紹介されています。この7通の内容ははあくまで参考情報です。参考にする・しないは、各社での判断に委ねられていますので、ご判断の上、ご使用ください。
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