化粧品安全評価管理措置が最終決着!中国食品薬品検定研究院が3つの重要な通知を発表

目次

中国食品薬品検定研究院が3件の通知を公表

2024年4月30日、中国食品薬品検定研究院(通称中検院)は、下記3件の重要な通知を発表しました。

3件の通知は4月22日に発表された「国家薬監局による化粧品安全評価管理の一部措置の最適化に関する公告(2024年第50号)」に基づき、2024年5月1日より施行されます。

  1. 《国際的な権威ある機関による化粧品安全性評価データ索引》と《発売済み化粧品原料使用情報》についての通知
  2. 《化粧品安全評価資料提出ガイドライン》等、2件の技術ガイドラインについての通知
  3. 《毒性懸念閾値 (TTC) 方法の適用に関する技術ガイドライン》等、3件の技術ガイドラインについての通知

また、発表された上記3件の通知には以下7つの文書が含まれています。

  1. 《国際的な権威ある機関の化粧品安全性評価データ索引》
  2. 《発売済み化粧品原料使用情報》
  3. 《化粧品安全評価資料提出ガイドライン》
  4. 《化粧品リスク物質の特定と評価技術ガイドライン》
  5. 《毒理学閾値 (TTC) 方法の応用技術ガイドライン》
  6. 《相互参照(read-across方法の応用技術ガイドラインド》
  7. 《化粧品原料データ使用ガイドライン》 

確定版について注目すべきポイント

その一化粧品分類及び安全評価資料提出要件が一部変更されています。

《化粧品安全評価資料提出ガイドライン》確定版では以下通り、化粧品を第一類化粧品、第二類化粧品の二つのカテゴリに分類しています。

  • 化粧品分類

第一類化粧品

以下項目のうち1つ以上に該当する場合は第一類化粧品の扱いとなる

分類         効能訴求使用対象安全測定期間内の新原料の使用有無
化粧品ヘアカラー・パーマ・シミ取り美白・日焼け止め・抜け毛予防などの効能及び新効能を持つ化粧品
(つまり、特殊化粧品)
乳幼児、児童対象の化粧品安全測定期間内の新原料を使用した化粧品

第二類化粧品

比較的リスクが高い原料の使用有無、器具・用具との併用の有無により、以下のように二つの状況に細分されました。

第二類化粧品の状況一

第二類化粧品の状況二

第二類化粧品の状況一以外の普通化粧品

  • 安全評価資料提出要件
分類第一類化粧品                 第二類化粧品
状況一     状況二
提出資料の要件 化粧品安全評価報告書化粧品安全評価基本結論と比較的リスクが高い原料等の評価資料を提出、化粧品安全評価報告書は将来のチェックのために保管化粧品安全評価基本結論のみを提出、化粧品安全評価報告書は将来のチェックのために保管
或いは化粧品安全評価報告書を提出或いは化粧品安全評価報告書を提出

その二:(添付1)化粧品安全性評価報告書自己審査要点

(一)自己審査要点では、原料の安全評価について、以下のように規定されています。

1化粧品安全技術ガイドライン及び関連ガイドライン《化粧品安全評価技術ガイドライン》及び関連ガイドライン《化粧品原料データ使用ガイドライン》《毒理学閾値 (TTC) 方法の応用技術ガイドライン》《相互参照(read-across方法の応用技術ガイドラインド》等を参照する
2上記いずれも参照できない場合上記のエビデンスのいずれも使用できない原料については、「化粧品安全技術ガイドライン」のリスク評価手順に従って評価を実施する必要がある。(評価方法に関する記載あり)
3特定の化粧品成分の安全性評価(1)香料, (2)ナノマテリアル
(3)原料を評価する際には、配合成分として使用されていない極微量成分(化粧品原料の品質を確保するために原料に添加される微量成分、化粧品原料に添加される加工助剤など)についても対応する必要がある。原料の品質や安全性に影響を与えないよう、製品の生産工程で使用される成分(製品の生産工程で使用され、その後の生産工程で除去される薬剤等)を一つ一つ説明し、十分な安全性評価を行うこと。
(4)監測期間中の新原料:製品に使用される原料が安全監測期間中の新原料である場合、原料の使用目的、使用・適用範囲、使用濃度、使用上の制限・要求事項が、新原料の技術的要求事項に適合しているかを評価する必要がある。
(5)ヘアカラー製品に含まれる着色料

(二)自己審査要点では、化粧品製品の安全性試験ついて、以下のように規定されました。

原料を十分に研究した上で、「化粧品原料データ使用ガイドライン」に記載されたいずれの根拠データを用いても安全評価を行うことができず、また、一部の毒理学試験結果のデータが不足しているために、安全評価ができない場合は、対象となる評価できない原料が配合成分の総成分数の10%以下で、且つ含有量が比較的低く、特別な効能効果を持たない場合(非特殊効能効果)、「化粧品登録登記検査業務規範」に定められた毒理学試験項目及び/或いは人体試験項目(倫理上の問題がない前提で)を参照して製品の安全性試験を行い、最終製品の安全性を総合的に分析し評価することができる。

*原料の安全性評価をせず、製品としての評価をすることができる。

(三)自己審査においては、製品の安定性と微生物の評価について、国家標準、技術規範、業界標準、国際標準、技術ガイドラインあるいは企業の自主的な方法によって製品の安定性、防腐効果、包装材料との適合性などの関連研究を行い、安全評価報告書の中で関連試験あるいは評価の結論を提出することができる。

その三:《化粧品原料データ使用ガイドライン》 

4月3日に発表された意見募集稿と比較すると、製品に配合される配合量の安全性根拠の要件は以下のように変更されています。(④、⑤)
https://wwip.co.jp/20240403-2/

①「化粧品安全技術規範」に収載された制限容量(防腐剤の制限容量リスト等)

②権威ある化粧品安全評価機関によって公布された評価結論

③国内外の権威ある機関(WHO,FAO等)が公布している安全上限量または結論

④化粧品監督管理部門が公布する発売済製品の原料使用情報

⑤国内外の3年以上の成分の使用実績

⑥成分の安全な食用履歴

⑦構造と性質が安定した高分子ポリマー(生物活性の高い原料を除く)

以下、④と⑤の具体的な内容です。

④化粧品監督管理部門が公布する発売済製品原料使用情報

意見募集稿では言及されていませんでしたが、確定版には発売済み製品の原料使用情報と明示されました。つまり、中国市場で販売されたことがない製品の原料は含まれません。結果、意見募集稿の2,250成分から16成分が削除され、確定版では2,234成分となりました。

⑤国内外の3年以上の成分の使用実績

3年以上の使用実績を証明するための資料について、以下のように変更されました。

資料1:「原料中の主要効能成分の含有量と溶剤の関連資料」から「同一原材料である証明材料」に変更されています。

資料4:「市場販売データの証明資料」は販売数量や出荷数量の下限がなくなりました。

なお、例外規定については意見募集稿に言及されていたニキビ除去(ニキビ軽減)、抗シワ(物理的抗シワを除く)、フケ防止、消臭の有効成分についての制限がなくなりました。

確定版では以下のようになっています。

  • シミ取り美白と抜け毛防止の有効成分として使用される成分については、④化粧品監督管理部門が公布する発売済製品原料使用情報を安全性評価根拠として使用することはできない。
  • シミ取り美白の有効成分として使用される成分については、⑤国内外の3年以上の成分の使用実績を安全性評価の根拠として使用することはできない。
  • 但し、「抜け毛防止の有効成分」として使用される成分が、同一の使用目的である場合は、⑤国内外の3年以上の成分の使用実績を安全性評価根拠として使用することができます。

WWIPコメント

中検院は4月30日に3件の重要な通知を発表しました。
これらは化粧品安全評価報告書(完全版)施行の一年延期と併せた緩和措置として翌日5月1日より施行されます。
原料安全性に使用可能な根拠材料の確定及び複数の技術ガイドラインの発表、また安全評価報告書完全版の一年延期施行等により、中国での化粧品登録登記手続きが間に合わず、対応に苦慮していた日本の化粧品企業にとって朗報です。
また、化粧品安全評価資料提出ガイドラインにも言及されているようにあくまで、現行法規であり随時、内容の調整を行っていくため、WWIPは中国当局の動向をタイムリーにキャッチし、皆様に最新情報をお伝えるように努めてまいります。

《化粧品安全評価資料提出ガイドライン》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/xxgk/ggtzh/tongzhi/202404301559401057174.html

《化粧品リスク物質の特定と評価技術ガイドライン》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/xxgk/ggtzh/tongzhi/202404301559401057174.html

《毒理学閾値 (TTC) 方法の応用技術ガイドライン》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/bshff/hzhpbzh/hzhpbzhtzgg/202404301622051057215.html

《相互参照(read-across方法の応用技術ガイドラインド》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/bshff/hzhpbzh/hzhpbzhtzgg/202404301622051057215.html

《化粧品原料データ使用ガイドライン》 
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/bshff/hzhpbzh/hzhpbzhtzgg/202404301622051057215.html

《国際権威機関の化粧品安全性評価データ索引》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/bshff/hzhpbzh/hzhpbzhtzgg/202404301550481057159.html

《発売済み化粧品原料使用情報》
https://www.nifdc.org.cn/nifdc/bshff/hzhpbzh/hzhpbzhtzgg/202404301550481057159.html

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