【中国】北京市薬品監督管理局より「普通化粧品NMPA登記に関するよくある質問―化粧品安全性評価特集」を発表

2025年4月21日、北京市薬品監督管理局は「普通化粧品NMPA登記に関するよくある質問―化粧品安全性評価特集」を発表しました。以下、弊社にて日本語に翻訳した内容をご紹介致します。(一部、理解しやすいよう意訳しております)

2025年4月10日に中検院が発表した『《国際化粧品安全評価データ索引》に収載された一部原料の使用情報』(以下略称『《国際索引》原料情報』)は、2024年4月30日に発表された『国際権威化粧品安全評価データ索引』(現在の名称は『国際化粧品安全評価データ索引』、以下略称『国際索引』)と比べて、どのような違いがありますか?

【内容の重点の違い】
2024年に発表された『国際索引』は、中国国内で使用されているが『化粧品安全技術規範』には未収録の原料のうち、EUの消費者安全科学委員会(SCCS)および米国化粧品原料評価委員会(CIR)が公表した安全性評価報告に基づく、客観的な原料データを収集したもので、3651種類の原料が対象となっています。
一方、2025年に発表された『《国際索引》原料情報』は、2025年2月9日に更新された『既上市製品原料使用情報』に基づき、2024年版『国際索引』に収録された原料のうち、安全性評価の結論がないものや使用制限のある一部原料に対し、業界からのフィードバックを踏まえて整理した上で、中国における登録・登記化粧品での使用実態を反映させた内容となっています。

【収録情報の違い】
2024年版『国際索引』では、3651種類の原料に関する安全性評価情報が収録されていますが、2025年版の『《国際索引》原料情報』では、その中から中国での登録・登記化粧品において使用頻度の高い999種類の原料にフォーカスし、それらの使用部位・使用方法・使用量などを詳細に記載しています。収録された使用量情報は2879件にのぼり、化粧品原料の安全性評価における参考データが大幅に充実しています。

化粧品の安全性評価において、『《国際索引》原料情報』に記載されている原料使用情報を引用する際に注意すべき点は何ですか?

『化粧品監督管理条例』および『化粧品安全評価技術ガイドライン(2021年版)』などの法規および技術文書に基づき、化粧品登録・登記者は製品の品質と安全性に責任を持ち、自らまたは専門機関に委託して安全性評価を実施し、安全性評価報告書を作成し、その真実性・科学性に責任を負う必要があります。

『《国際索引》原料情報』は、中国国内で登録・登記されている化粧品において使用されているが、『化粧品安全技術規範』には未収録の原料使用情報を客観的に収集したものであり、掲載された原料の安全性について体系的な評価は行っていません。
したがって、登録者・届出者が当該情報を使用する際は、中国の関連法規・強制的国家標準・技術規範に準拠して安全性評価を行う必要があります。

『《国際索引》原料情報』に記載された使用量は、安全性評価の参考資料にはなりますが、登録・登記者は製品の使用方法や作用部位と照らし合わせて、データの適用可能性を適切に評価し、正しく使用する必要があります。また、掲載原料について新たな安全性評価結果が公表された場合は、その科学性・妥当性に基づき、科学的・公正かつ個別分析の原則に従って評価に使用するデータを選定する必要があります。

『化粧品安定性試験評価技術ガイドライン』以外に、安定性試験に参考となる関連規格や方法はありますか?

以下の規格・ガイドラインが参考になります:

  • ISO/TR 18811:2018『化粧品―化粧品安定性試験のガイドライン』
  • Colipa/CTFA『化粧品安定性試験のガイドライン』(2004年3月)
  • T/SHRH 058—2024『化粧品安定性試験ガイドライン』
  • T/GDICST 001—2023『化粧品安定性試験ガイドライン』
  • T/GDCQMA 002—2023『化粧品安定性試験規範』
  • T/SHFCA 002—2021『化粧品安定性試験指導原則』
加速安定性試験の結果が、なぜ化粧品の保存期間の予測に役立つのですか?

化粧品中の多くの化学反応、たとえば成分の分解や酸化などは、その反応速度が温度に大きく依存します。アレニウスの式(Arrhenius equation)は、この関係を定量的に示すことができ、異なる保存温度における製品の推定使用期限(保管安定性)の予測に用いられます。

加速安定性試験(accelerated stability testing)を通じて、高温下での成分の変化速度を測定し、アレニウスの式に基づいて実使用温度領域へ外挿することで、製品の実際の保存期間を推定することが可能となります。

ただし、アレニウス式は反応の活性化エネルギー(activation energy)が温度によって変化しないという仮定に基づいており、現実の複雑な化粧品系においては、反応に影響する要因が多岐にわたるため、この前提が必ずしも成立するとは限りません。

また、同式は温度以外の因子(例:湿度、光、酸素など)による影響を考慮しておらず、これらの因子も製品の安定性に大きな影響を与えるため、実際の保存試験では総合的な評価が求められます。

WWIPより

今回発表された「普通化粧品NMPA登記に関するよくある質問_化粧品安全性評価特集」は、2025年4月10日に更新された『《国際索引》原料情報』の実務運用に関する補足情報であり、大変参考になる内容です。

『《国際索引》原料情報』は、今後中国で化粧品申請を行う企業にとって非常に役立つ一方、当該データは安全性そのものを保証するものではないこと、また利用時には関連法規や技術規範に基づく科学的な判断が必要である点について留意する必要があります。

また、加速安定性試験やアレニウス式を用いた保質期限推定に関する説明は実務に基づいており、輸出製品を含めた品質保証の構築にも活かせる内容です。

弊社では引き続きこうした政策動向の情報発信を行ってまいります。


<本件に関するお問い合わせ>

株式会社WWIPコンサルティングジャパン

TEL : 03-6206-1723

Email: official@wwip.co.jp

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