[台湾化粧品] 2024年5月台湾食品安全局、違反化粧品105件の摘発を公表- 7月のPIF制度導入により企業の自主管理が化粧品の安全性の担保になりました。当局の市場監査には注意が必要です。
台湾食品安全局、違反化粧品105件摘発を摘発
2024年5月2日に食品安全局は、2023年1月1日から2024年2月29日の間に計816社の市場で流通している化粧品製品の登録情報を抽出して検査し、105件の違反が報告され、計149万元の罰金を科したことを発表しました。こうした発表は過去何度か行われているものの、対象企業数が増加している印象があります。
参照:台湾衛生福利部食品藥物管理署、台中市政府衛生局、食品安全局
(一部抜粋翻訳)
台中市政府衛生局:食品安全局は、2023年1月1日から2024年2月29日の統計によると、化粧品に関する違反件数は105件で、その内ラベル違反が73件、ラベル内容不足が最多で36件(49%)、続いて虚偽内容(16%)、中文ラベル無し(14%)、販売日やラベル変更製品(11%)、製品の容器変更(7%)、規定のラベル表示に準じていない(3%)などがあります。ラベル内容不足36件の内、「ロット番号」の記載なしが33件(92%)、「成分名」の記載なしが21件(58%)でした。
台湾化粧品通知(登録)の遵守を警鐘
(一部抜粋翻訳)
台中市政府衛生局:国際的な化粧品管理動向に鑑み、化粧品の製造・輸入事業者は、供給、販売、贈与、展示又は消費者に試用させる前に、化粧品製品登録システムに登録を完了する必要があります(ただし、手作り固形石けん製造者の工場登録を除く、また、特別用途化粧品については2024年7月1日から実施)。消費者が製品名、事業者名、住所等の情報で、化粧品情報を簡単に照会・閲覧できるようになります。
また、食品安全局は消費者に対し、化粧品の購入は慎重に検討するようにと注意喚起しています。化粧品の購入は「止まる、見る、調べる」の三原則に基づいて自身を守るよう呼びかけ、化粧品の表示ラベルまたは登録違反は最大で100万元の罰金を科すと業者にも注意喚起しました。
台湾PIF制度の遵守を警鐘
2024年7月22日、台湾FDA当局より以下の通り、PIFは必須である旨が発表がされました。
(一部抜粋翻訳)
台湾FDA:化粧品衛生安全管理法第5条第7項の規定及び行政院が2019年4月29日に発行した院台衛字第1080011912号令に基づき、特別用途化粧品の登録に関する規定は、2024年7月1日から適用を停止します。
また、衛生福利部は2019年5月30日に衛授食字第1081602470号及び衛授食字第1081602471号により「製品登録を完了すべき化粧品の種類及び施行日」及び「製品情報ファイルを設置すべき化粧品の種類及び施行日」を公告しました。2024年7月1日より、特別用途化粧品は「製品登録」及び「製品情報ファイル(PIF)」の規定に準拠する必要があります。
2024年7月1日付けで特別用途化粧品に関連する規制を廃止してPIF制度が開始されたため、これから化粧品に対する市場監査が厳しくなると予想されます。当局がPIF資料を要求してから企業が提出するまでの猶予期間は7日間とされており、当局要求があってから対応することは物理的に困難です。
台湾PIF制度に緩和措置が採られる可能性はあるか?
2018年にPIF制度導入が発表され、2022年6月にPIF作成のガイドラインが公表されて以来、その資料要求の厳しさから、7月1日施行前に何らかの緩和措置が採られるであろうという希望的観測がありましたが、結果、緩和措置や制度見直しをすることなく、今月、施行の日を迎えました。
WWIPコンサルティングジャパンは、定期的にPIF制度の変更や緩和措置について情報収集をしてきましたが、現時点で、その兆しは見られません。
台湾FDAの見解は以下の通りです。(当局担当者からのPIF制度と今後の監査についての見解)
TFDAとしては現在の法規を順守して対応していき、消費者の権利と安全を守るためにも、今後段階的に対象製品が拡大していくPIF制度の啓蒙を図っていく予定。また、ランダムに市場監査をするだけではなく、消費者による告発制度*の認知を広げ、市場の健全な発展を促していきたい。
*消費者による告発制度:台湾FDAに消費者が製品の不正を告発し実際に違反製品が見つかった場合には、告発した消費者に企業への罰金額の約5~10%に当たる額の報奨金を与えるという制度。
台湾PIFの作成、署名にはASEAN等のPIF制度適用国とは異なり、台湾独自の規定が多く含まれています。現在のPIF制度の要求水準が高く、対応が困難な企業もあることから、一部緩和措置があるとの観測も聞こえてきますが、当局がそうした対応を考えているといった情報はありません。
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