2023年4月4日、NMPAより「化粧品ネット取引監督管理弁法」とその政策解釈が発表されました。

株式会社ワールドワイド・アイピー・コンサルティングジャパン(以下「WWIP」)は「化粧品ネット取引監督管理弁法」(以下「本弁法」)とその政策解釈の内容とともに、本弁法施行後、日本企業が注意すべき点をお知らせ致します。

「化粧品のネット取引監督管理弁法の政策解釈」

1. なぜ「化粧品のネット取引監督管理弁法」を制定するのか?

オンライン経済の急成長に伴い、インターネット上で化粧品を購入することは既に主な購入手段となっています。化粧品のネット販売の普及は消費者に便利さをもたらした一方、化粧品の品質や安全性を確保することが大きな課題になっています。

近年、ネットで販売された化粧品の品質安全問題が頻発し、抜き取り検査の不合格率やリスク監測問題の発見率が、従来の販売方法より著しく高くなっています。化粧品のネット取引をより規範化するため、「化粧品監督管理条例」「化粧品生産経営監督管理弁法」を公布し、「電子商務法」「オンライン取引監督管理弁法」でも、ネット取引市場の秩序に対して明確な要求を示しました。その上で、関連規定をより細かく明確にすることと、化粧品のオンライン取引監督管理法に適用される新しい方法や手段を研究するため、国家薬品監督管理局は、「化粧品のオンライン取引監督管理弁法」(以下、「弁法」という)を起草しました。

2.「弁法」の主な内容は?

「弁法」は全 5章35条で、総則、プラットフォーム管理、プラットフォームにおける化粧品事業者管理、監督管理、附則などの内容で構成されています。「弁法」は、政府の監督管理とプラットフォーム管理を連携し、粗悪品製造流通をオフラインとオンラインの両方で防ぎ、日常監督管理と技術管理の連携し、一般的な要求と特殊な規定を連結させる管理理念を主張します。

内容:

①化粧品のオンライン取引の監督管理対象と監督管理部門を明確にすること

化粧品電子商プラットフォーム事業者(以下「プラットフォーム」という)、プラットフォームにおける化粧品取引事業者及び自社ウェブサイトや他のWebサービスを通じて化粧品を販売する電子商取引事業者を含む化粧品電子商取引事業者を明確にします。国家薬品監督管理局及び県クラス以上の薬品監督管理部門が、化粧品のオンライン取引の監督管理に関する業務を明確にしました。

②プラットフォーム自身がプラットフォーム内の取引事業者に対する管理責任を明確にすること

プラットフォームの実名登録、日常検査、違法行為の防止と報告、品質安全に関する重要な情報を報告するなどの管理責任が定めています。

③プラットフォームにおける化粧品取引事業者の法的義務を明確にすること

プラットフォームにおける化粧品事業者には、仕入れの確認、商品情報の公開、リスク管理、不良品の回収、商品の保管と輸送などの義務を履行しなければならないことを定めています。

④化粧品のオンライン取引監督管理の要求を明確にすること

化粧品のオンライン取引監督管理における監督検査する権利、行政処罰の管理権限、オンラインサンプリング、証拠の採用、オンライン取引のモニタリングなどを明確にしています。

3.「弁法」を提案した原則と考えは?

「弁法」は以下の原則と考えに基づいています。

①プラットフォームの役割を強調し、プラットフォームの管理やプラットフォームとの協力を強化すること

「弁法」は、「化粧品生産経営監督管理弁法」に基づいて、プラットフォームにおける化粧品取引事業者の管理責任をより明確に細かくし、プラットフォームの役割と強みを十分に発揮させます。それと同時に、監督管理部門と連携を取り、監督管理部門との交流と協力を強化させます。

②問題を根本から解決し、オンライン取引の違法行為に関する取り締まりを強化すること

プラットフォームにおける化粧品取引事業者の違法行為に対して、プラットフォームはすぐに削除、ブロック、リンクをオフにするなどの措置を取り、リスクを最小限に抑えます。重大な品質や安全問題が起こった際には、プラットフォームが必要な措置を取った後、化粧品事業者が所在する監督管理部門に手がかりを報告し、法律に基づいて調査や処分を行う必要があります。単にプラットフォームの中で、違法行為があった事業者を削除して済ませてはいけません。

③問題を解決することに焦点を当て、虚偽広告など管理しづらい問題を解決すること

プラットフォームにおける化粧品取引事業者は、各自のホームページに掲載されているすべての商品に対し、必ず登録した商品のラベルに書いてある情報と一致させなければなりません。登録情報を真実、完全、正確に保証する必要があります。消費者が気になる商品の安全性と効果については、掲載されている情報が登録した情報または登記した情報に記載されているラベル情報や効能主張根拠の概要と一致させる必要があります。

④監督部門と管理部門の協同作業を重んじ、オンライン取引の監督管理の良い仕組みを構築すること

「弁法」は監督管理部門間の協同調査、手がかり通報などの手順を明確にし、プラットフォームのアドレス、化粧品取引事業者の実際の住所、登録者、登記者の住所などを明確にし、オンライン取引の監督管理をよりよくすることを強調しました。また、「弁法」は「オンラインをもってオンラインを統治する」という管理理念を主張し、化粧品のオンライン取引モニタリングを強化し、国家薬品監督管理局が各クラスの薬品監督管理部門を連結して、技術手段を利用して化粧品のオンライン取引監視を行うことを求めました。

WWIPより

上記「化粧品のネット取引監督管理弁法の政策解釈」の通り、本弁法では中国国内EC流通製品に対しても良好な品質と安全性を確保すべく、中国当局とプラットフォーム事業者が連携しながら化粧品事業者・出品製品の情報を厳しく管理監督していくことを定めています。

本弁法は越境ECには適用されないことと定められているため、NMPA登録/登記後に中国国内ECサイトに出品する場合に注意が必要です。今後はNMPAからプラットフォーム事業者に対し、化粧品事業者へのチェック・情報管理義務や発見された違反行為に関する報告義務等を課すため、出店・出品時の審査が厳しくなったり、販売後も定期的なチェックが入ったりする可能性があると考えられます。

なお、施行日は2023年9月1日ですが、2023年3月1日に“オンライン・オフラインでのサンプリング(抜き取り)検査を実施する”旨が定められた「化粧品サンプリング管理弁法」※が施行されているため、サンプリング検査自体は既に開始されています。サンプリング時点で異常製品(使用期限が過ぎている、ラベルに禁止内容が表示されている等)が見つかった場合にはNMPAへ通報されて罰則を受ける恐れがあり、サンプリングされた製品の検査で規定不適合の結果が出た場合には調査が入ることとなるため、オンライン・オフラインいずれの流通製品も中国の法規に適合するよう注意して販売する必要があります。※参考:https://wwip.co.jp/https-wwip-co-jp-news20230127/

「化粧品ネット取引監督管理弁法」公布ページ

https://www.nmpa.gov.cn/xxgk/ggtg/qtggtg/jmhzhptg/20230404165303195.html

「化粧品ネット取引監督管理弁法」政策解釈についての発表ページ

https://www.nmpa.gov.cn/xxgk/zhcjd/zhcjdhzhp/20230404165712191.html

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