【インドネシア化粧品】2025年第2四半期の監視結果:計55件の化粧品が違反で市場から回収・販売停止
2025年8月、ジャカルタ – インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM)は、2025年第2四半期(4月~6月)に実施した監視活動の結果として、合計55件の化粧品製品に対し、市場からの回収および販売停止措置を行ったことを公表しました。違反内容は以下の通りです。
禁止成分・有害物質を含む34製品
2025年8月1日、BPOMは、定期監視およびサンプリング検査の結果、34製品が水銀(マーキュリー)、レチノイン酸、ヒドロキノン、鉛、メタニールイエロー(禁止着色料)、ステロイドなどの成分を含有していることを確認しました。
これらの成分には以下のような健康リスクが指摘されています:
- 水銀:皮膚の黒ずみ、アレルギー、腎障害等
- レチノイン酸:皮膚の乾燥、刺激、胎児奇形リスク(催奇形性)
- ヒドロキノン:過剰な色素沈着、角膜・爪の変色等
- 鉛:神経系・臓器への毒性
- メタニールイエロー:発がん性、肝機能障害等
- ステロイド:皮膚萎縮、色素異常、アレルギー反応等
このような製品には、通常BPOMは以下の措置を実施します:
- 製造・流通・輸入の一時停止命令
- 全国76か所の地方機関による現場査察・是正指導
- 刑事罰の対象となる場合には、法的手続きを進行
なお、本件は最長12年の懲役または最大5億ルピアの罰金が科される可能性があります。
通知と製造現場実態の不一致:21製品
SNSや消費者からの通報に基づき、BPOMが製造現場への立入検査を実施した結果、届出時の成分内容と、実際に製造された成分内容が異なる製品が21件確認されました。
主に以下の違反が見られました:
- 成分の種類が異なる
- 成分の濃度(配合量)が異なる
- 表示されたラベル情報との不一致
多くのケースがOEM(契約製造)化粧品で確認されています。こうした不一致は、消費者にとって以下のリスクを伴います:
- 表示されていない成分によるアレルギー反応
- 表示された効能・効果と異なる使用感や作用
これらはBPOM規則第21号(2022年)「化粧品通知の提出手続きに関する規定」に違反しており、以下の行政処分が実施されました:
- 通知(販売許可)の取消し
- 市場からの回収と廃棄命令
BPOMは、化粧品の製造事業者に対し、すべての製品バッチが通知された成分構成およびGMP(Good Manufacturing Practice)基準に適合していることを厳守するよう強く要請しています。また、化粧品責任会社(BUPN)にも、製造管理体制の徹底と外注管理責任の履行が求められます。
WWIPからの提言
- すべての通知申請内容と製造現場実態の一致を定期的に確認
- GMP基準に沿った原料・成分管理体制の強化
- BPOMの最新動向(リスク評価、違反事例、監視強化方針)に常時アップデートする仕組み構築
BPOMプレスリリース(2025年8月1日)「化粧品34品目に有害成分を確認」:
BPOMプレスリリース(2025年8月7日)「通知内容と異なる成分の化粧品21品目を処分」:
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