【続報】中国原料安全性情報登録データベース 当局のシステム変更について

弊社リリース等で既にご存知の企業様もいらっしゃるかと思いますが、2023年9月5日、中国薬品監督管理局(NMPA)の化粧品原料安全情報登録プラットフォームプロジェクトチームより以下の告知がありました。
(告知された内容)* 関係する箇所を抜粋

(ア) 原料の製品名称とバージョン番号を削除し原料の標準中国語名称(中文INCI)置き換えます。
(イ) 原料登録は複数の成分に対応しません。「既使用化粧品原料目録(2021年版)」から成分を1種類のみ選択することが可能となり、成分含有量の記入は不要となります。
(ウ) 原料の配合目的の項目がなくなります。

また、2023年9月4日付でNMPAの関連機関である「中国食品薬品検定研究院」より「化粧品原料の安全情報の記入に関するガイドライン」通知が公開されました。
同通知では、化粧品製品申請者(及び境内責任会社)が化粧品製品申請の際に要求される化粧品原料安全情報を自ら作成する場合(添付14、Annex14)の記入方法について具体的なガイドラインが示されています。

上記、状況を踏まえ、弊社で確認できた内容、今後の対応に関する弊社の考え方を以下、ご報告申し上げます。

既に登録済み原料の情報はそのまま保持されるか
9月5日、18:00にシステムの改修が完了しております。
現時点でデータベース上には既に登録した原料安全情報(製品名称、バージョン番号、混合原料であれば混合成分と各配合率の値、配合目的等)の入力データが残っております。
このことから、前述の改修点、ア)イ)ウ)については、今後登録する原料が対象になると推測されます。
但し、混合原料で取得済みの原料伝達コードが化粧品製品申請に問題なく使用できるかについては、次の項を参照してください。

※ あくまで、現時点でのデータベース内の情報から推測されるもので、今後何らかの変更があることを否定するものではありません。

登録済みの原料の化粧品原料伝達コードは化粧品製品申請に使用できるか
現在確認できる状況は以下の通りです。
① 特殊化粧品、普通化粧品の申請では、単一成分として登録された原料の伝達コードは従来同様、使用が可能。
② 既に登録済みの混合原料の原料伝達コードは、本日現在、特殊化粧品の申請入力データベースでは原料伝達コードを入力してもエラーが出て入力できない。(WWIP確認済み)
普通化粧品の申請入力データベースでは原料伝達コードを入力することができるものの(WWIP確認済み)、入力した製品申請をアップロードしようとすると、その時点で「コードの形式が違います」というエラーが出る。(WWIPの提携会社2社からの情報)

WWIPでは、システム改修後も原料データベース内に混合原料のデータが保持されていることから、登録済みの原料伝達コードは、単一、混合、問わず使用できるのではないかと考えておりましたが、最新の状況から判断すると、混合原料の原料伝達コードは製品申請に使用できない可能性が高いと判断せざるを得ません。

WWIPでは、この点について、データベースを改修した化粧品原料安全情報登録プラットフォームプロジェクトチームに問い合わせをいたしましたが、「中国薬品検定研究院の発表、関連部門に相談をするように」という返答しか戻らず、明確な回答は得られませんでした。

データベース改修担当者への質問に対して戻ってきた回答(関連部門に相談するように という意)
  • WWIPからの質問に対する当局回答(9月5日 13:27)

現時点で、登録済みの原料伝達コードの使用に関する中国食品薬品検定研究院の通知はなく、9月5日に弊社から直接検定研究院に問い合わせしましたが、本日現在回答がありません。

※ あくまで、現時点でのデータベース内の情報から推測されるもので、今後何らかの変更があることを否定するものではありません。登録済みの混合原料のコードが使用できないのは単なるバグで、今後使えるようになる 等、可能性はいくつもあり、当局公式見解が出ていない現状では確定的に言えるものではありません

混合原料の伝達コードが使用できなくなることによる影響
本日現在、原料登録データベースの登録数は、388,700原料に及びます。このうち、少なくとも半分が混合原料と試算した場合*1、約19.5万件の混合原料の伝達コードが使用できなくなり、登録した原料生産企業は、今後伝達コードに代わって紙ベース(添付14,Annex14)で安全性情報を提供する必要性が生じます。
*1: データベースをランダムに数画面(1画面あたり20件の登録が確認できる)検索し、その内訳をもとに算出。

原料品質安全関連情報のデータベース登録は当局が積極的に推進してきた制度であり、かつ、多くの原料生産企業から反発が予想されることから、最終的に使用できるようになる可能性が全くないとは言えませんと考えております。

今後の原料安全性情報提供方法について
① 単一原料
単一成分の原料については、従来と変わらず、データベース登録が可能、かつ取得済みの原料伝達コードも使用可能であり、化粧品製品申請者の要求に応じて原料伝達コードを提供することができます。

② 混合原料
a. 原料伝達コード取得時に自動生成されるPDFデータを安全性情報として製品申請者に提供し、製品申請者側で添付14を作成する。(実務上は、添付14に転記せずに、そのまま安全情報として使用できるとの認識です)
b. 登録済原料以外の混合原料については、製品申請者の要求があった場合、添付14を作成し提出する。

弊社の今後の原料安全性情報に関する業務について
今回のデータベース改修を受け、今後混合原料の登録ができないことから、今後の原料安全性情報に関する業務は以下の通りといたします。

① 単一成分の原料については、変わらず登録業務を進めます。
② 混合原料については登録ができないため、原料データベースへの登録の代わりに添付14を作成し(日本語、中国語)ご提出致します。

WWIPの見解

以下、今回混合原料が登録できなくなった背景について推察したもので何らか裏付けがあるものではありません


2022年1月から開始された既使用原料の品質安全関連情報のデータベース登録は、化粧品監督管理条例並びに関連規定の中で新たに制度化されたもので、化粧品中の水以外全ての配合原料の安全性情報の提供の義務付けに伴いスタートしたものです。
原料メーカーの工数削減、安全情報の全てを開示する必要がない等のメリットから弊社も積極的に登録業務を進めて参りましたが、ここに至って、混合原料の伝達コードの使用ができなくなるという事態に陥る可能性が出ています。
これほど大きな修正をせざるを得ない理由について、検討した結果を以下記載します。


① 混合原料を中心に、データベース登録された安全情報と製品申請の際に提出する処方表との間に齟齬が生じ、その数が予想を超えて大量に発生した。特に混合原料の配合比率や混合原料の構成成分の内容において発生した。
② 登録内容と製品申請の齟齬を製品申請者が把握していない(把握できない)ため、製品申請の審査のやり取りが本来の工数削減(審査時間の短縮等)の目的とは裏腹に工数が増大することになった。
③ 結果、化粧品製品申請者が原料の安全情報を自ら責任をもって確認できる方法として、混合原料のデータベース登録を取りやめる選択をした。
④ 単一原料においては配合比率等の問題は基本的に生じないため、従来通りとした。

現在の最新の状況を把握し皆様にお伝えするため、ここにご報告します。

継続して最新の情報、動向を収集し都度ご報告をいたします。
よろしくお願いいたします。

ご注意!!

今後、中国の化粧品製品に混合原料を配合できなくなるわけではありません。混合原料は原料安全性データベースに登録ができなくなり、化粧品製品申請時には、混合原料の安全情報はコードではなく添付14で出す方法しかなくなったという主旨です。

<本件に関するお問い合わせ>
株式会社WWIPコンサルティングジャパン
TEL : 03-6206-1723
Email: official@wwip.co.jp

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