【NMPA国家薬品監督管理局による発表】10/25に「化粧品生産品質管理規範 検査の要点及び判定原則」が発表されました
https://www.nmpa.gov.cn/xxgk/ggtg/qtggtg/20221025104946190.html
「化粧品生産品質管理規範 検査の要点及び判定原則」(以下「原則」)の発表内容と日本企業への影響について、以下の通り弊社見解含めお知らせ致します。
1.「化粧品生産品質管理規範」とは
化粧品の製造にあたってNMPA登録者・登記者・受託生産企業が遵守すべき品質安全要件を定めたものであり、今年7月1日に施行されています。全体的な内容は、モデルにされているISO22716と類似していますが、一部「品質安全責任者の設置」など中国独自のルールも含まれます。
2. 「化粧品生産品質管理規範 検査の要点及び判定原則」の概要
今回発表された当該原則は、NMPA登録者・登記者・受託生産企業に対してNMPA(薬品監督管理部門)が監査する際に、“化粧品生産品質管理規範を遵守できているかどうか”を見るためのチェックポイントとして制定したものです。
原則にはチェックポイントである「化粧品生産品質管理規範-検査の要点」が2種類添付されており、それぞれ以下の対象者ごとに使い分けられます。
●生産活動を行うNMPA登録者・登記者・受託生産企業に対して
全81項目(一般項目52+重点項目29)のチェックポイントを使用
●委託生産を行うNMPA登録者・登記者に対して
全24項目(一般項目15+重点項目9)のチェックポイントを使用
●化粧品の生産活働(自社生産)と委託生産の両方を行うNMPA登録者・登記者に対して
前述全81項目、全24項目の両方のチェックポイントを使用
現場監査では、チェックポイントに対してそれぞれ「規定に適合」「規定に不適合」という結論が出されます。そのうち重点項目に対しては「瑕疵が存在する」という結論を出すこともでき、「規定に不適合」「瑕疵が存在する」という結論となった項目は全て、具体的な問題点が記録されます。
品質安全面に関わるチェックポイントが不合格と判断された場合は「化粧品監督管理条例」の違法行為が疑われ、その場合は調査の上で現場監査が行われます。違法行為であると判断された場合は、化粧品監督管理条例に則り罰則が科されることとなると考えられます。
3.原則の対象は中国国内企業か?
特に「中国国内企業向けである」旨の言及はありません。
原則には“現場監査の結果が不合格であった場合は化粧品生産許可を取り消す”という内容が含まれます。化粧品生産許可とは中国国内における製造業許可を指し、このような部分は中国国内企業向けと考えますが、今後は海外企業に対してもNMPAの監査が行われることになっており、いくつかの日本企業には既に監査実施の通知が届いているとも伺っておりますので、「化粧品生産品質管理規範」や今回発表された原則は海外企業にとっても無関係ではないと考えます。
4.各地でチェックポイントに差が出る可能性
原則内に「省・自治区・直轄市の薬品監督管理部門は実際の状況を踏まえ、当該行政区域の化粧品生産品質管理規範-検査の要点をより詳細化・補充し制定することができる」とあるので、地区ごとの判断により、今回発表されたチェックポイントよりも項目が増えたり、厳しくチェックされたりする可能性があります。
5.まとめ
前述の通り、「化粧品生産品質管理規範」はISO22716をベースに作られたものであるため、基本的には日本でも自主基準とされているISO22716(GMP)に沿って生産していれば中国要求との大きな乖離が生じるとは考えにくいのですが、“中国独自のルールもあること”“NMPA申請/登記手続き時に申告している内容(生産工程、品質管理の検査実施状況等)と実際の生産管理体制に齟齬が生じると虚偽申請だと疑われるリスクもあること”を念頭において、もし監査を受けた場合も対応できるよう注意する必要があると考えます。