【ベトナム 食品】保健省食品安全局の元局長が逮捕
*食品安全局: Vietnam Food Administration (VFA)
2024年9月までベトナム保健省食品安全局の局長を務めたグエン・タイン・フォン氏が、5月13日に収賄容疑で逮捕・起訴された。事件は、数百トンに及ぶ偽造健康食品の製造・販売に関わる組織的な不正に関連している。
ベトナム公安省の捜査機関は、食品安全局の複数の職員に対して違法な製品審査および事後確認に関与したとして、被疑者としての起訴と家宅捜索を実施した。具体的には、MediPharおよびMediusaなどの工場に対して、GMP(適正製造基準)を満たす施設認証書4通を不正に発行し、グエン・ナン・マイン氏が関係する9社に対し、製品登録申請書20通を発行したとされる。
この不正の中心人物とされるグエン・ナン・マイン氏は、2016年から複数の会社を設立し、原材料の輸入、製造、包装、販売に至り、偽の健康食品を流通させていた。商品パッケージには「アメリカやヨーロッパからの輸入品」と偽装表示されていたが、実際には原材料の多くが中国から輸入されたもの、あるいは国内での非正規購入によるものであった。
さらに、彼らは二重帳簿を使用して税務当局を欺き、国家財政に損失を与えていた。検査結果では、多くの製品は、登録されていた品質基準の30%未満しか達していないという検査結果が出ていた。捜査が入った際には、証拠隠滅のために原材料や製品を廃棄し、工場を閉鎖していた。
捜査当局が押収した偽造健康食品の総量は約100トンに達し、種類も多岐にわたっており、ベトナム全域に広く流通していた。対象となった消費者層は、主に高齢者や子どもなど、社会的に弱い立場の人々であった。
【WWIPコメント】
今回のグエン・タイン・フォン元局長の逮捕により、今後の健康食品の製品登録プロセスがより厳格化されることは必至である。書類審査や審査期間が長引く可能性があり、成分検証や透明性に対する要求も一層高まるであろう。
これは事業者にとっては課題ではあるが、同時に市場の健全化と業界全体の信頼性向上につながる契機ともなり得る。
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